困った時の離婚、離婚協議書の作成
財産分与、慰謝料、親権、監護権、養育費、面接交渉権に関するトラブル
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離婚協議 虎の巻

 
 【 INDEX 】
              1.「離婚」の流れ

              2.「協議離婚」の進め方

              3.「離婚」時に協議すること

              4.「慰謝料」の基礎知識

              5.「財産分与」の基礎知識

              6.「慰謝料」・「財産分与」の決め方

              7.「親権」の基礎知識

              8.「監護権」の基礎知識

              9.「面接交渉権」の基礎知識

             10.「養育費」の基礎知識

             11.「離婚協議書」を作る理由

             12.トラブル防止テクニック

             13.「離婚」手続を行なうにあたって


              ※ 『離婚協議トータルサポート』へ戻る


1.「離婚」の流れ



     まず、離婚には、4つのタイプがあります。
     これは4つの中から選択すると言うよりも、状況によって採用するタイプが異なってくるのです。



     
(1)協議離婚


     夫婦が不仲になり、離婚ということになれば、まず当事者で離婚について話し合いをします。
     二人の間で話がまとまれば、たとえどのような理由であっても離婚することができます。


     例えば、特に理由はないがなんとなくいっしょに暮らすのが嫌になったから、のようなとても理由
     とは呼べないようなものであっても二人の間で合意すれば離婚はできます。


     また、極端な例としては、債権者からの強制執行を免れるため、生活扶助を受けるため、あるいは
     重婚による取消しを免れるためなどの場合にも二人の間で合意があれば離婚が認められるという判
     例があります。


     判例は、理由を問わず夫婦間で合意があれば、離婚の意思があるものとして離婚を認めているので
     す。


     このように二人で協議して合意の上で行う離婚を「協議離婚」と呼びます。
     実際に離婚する夫婦の9割以上がこの協議離婚によって離婚しているそうです。



     
(2)調停離婚


     しかし、事情によっては、すんなり離婚とはいかない場合もあります。
     夫か妻のどちらかが離婚をしたくないと思っている、また、離婚自体には合意していたとしても、
     離婚の条件(財産分与、慰謝料、養育費などの金銭的問題や子の親権など)について折り合いがつ
     かない場合は協議離婚というわけにはいきません。


     二人で話し合いがつかない場合には、家庭裁判所で離婚の調停をする必要が出てきます。
     家庭裁判所で調停委員を交えて話し合いを行い、話がまとまれば調停成立という形で離婚すること
     ができます。
     これを「調停離婚」と呼びます。


     ただし、調停が成立するためには、相手の合意が必要となりますので、双方がどうしても譲り合わ
     なければ、調停離婚というわけにはいきません。



     
(3)審判離婚


     調停によっても話がまとまらず、家庭裁判所が審判にまわした方が良いと判断したり、離婚自体に
     は応じても金銭問題で解決がつかないなどの例外的な場合には、家庭裁判所が独自の判断で離婚を
     言い渡す場合があります。
     これを「審判離婚」と呼びます。


     家庭裁判所が独自の審判を下すため、二人の話し合いは行われません。
     しかしながら、審判に不服であれば、異議を申し立てて訴訟を起こすことが可能です。



     
(4)裁判離婚


     調停で話がまとまらない、あるいは、家庭裁判所の審判に不服である場合、離婚訴訟を起こして、
     地方裁判所が離婚を判断することになります。
     これを「裁判離婚」と呼びます。


     しかしながら、離婚訴訟はいつでも起こせるものではなく、法律で定められた離婚理由(法定離婚
     事由)があるときに限られます。



     簡単に言うと、状況によって、このような流れで離婚手続は進んでいきます。
     ただし、調停が不成立でも、必ず審判が行われるとは限らず、裁判に進む場合もあります。


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2.「協議離婚」の進め方


     協議離婚が9割以上という現状を考えて、ここからは協議離婚を中心に書いてみたいと思います。



     
(1)離婚届を書くときの注意点


     協議離婚の際は、夫婦双方の離婚の意思を確認した上で離婚届を役所へ提出します。
     離婚届の用紙は市役所などで無料で手に入ります。
     夫婦はそれぞれ氏名、生年月日、住所、本籍などを書きます。
     未成年の子がいる場合、夫・妻それぞれが親権を行う子の氏名を書きます。
     (ここはポイントになりますので、後述します。)


      また、協議離婚の時は、証人が2人必要です。
     20歳以上であれば誰でもかまいません。
     氏名、生年月日、住所、本籍を書きます。


     当事者も証人も本人が署名をしてください。
     印鑑は認印でもかまいませんが、夫婦で同じ印鑑を使用しないでください。



     
(2)離婚届を提出するときの注意点


     離婚届の提出は、住所地または本籍のある市区町村の役所に行います。
     本籍のある市区町村の役所に提出するときは必要ありませんが、本籍のない住所地の市区町村の役
     所に提出するときには、戸籍謄本を1通用意する必要があります。
     心配な場合は、市区町村の役所に確認をすれば安心です。
     離婚届は夫婦いっしょに提出しに行く必要はありません。



     
(3)離婚届を受理させない方法


     協議離婚では、夫婦双方に離婚の意思が必要ですので、一方の意思のみでは離婚はできません。
     一度は離婚届に署名をしたもののやはり離婚を取りやめたいと考え直す場合もあるかと思います。

     
     そのようなときは、相手が離婚届を提出してしまう前に、「離婚の不受理申出書」を先に役所に提
     出しておくと、6ヶ月間は離婚届が受理されなくなります。


      このように、協議離婚については、お互いの納得があって、離婚届を提出すれば、離婚が成立する
     ことになります。


     しかしながら、離婚に際して決めておかなければならないこと、決めておいた方が良い事項という
     ものがあります。


     そして、これらの事項は「離婚協議書」という形で、書面として残した方が後々のトラブルを予防
     できます。
     特に金銭面では、様々なトラブルが生じやすいという現実がありますので、「離婚協議書」が重要
     な意味を持ってきます。


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3.「離婚」時に協議すること


     協議離婚については、お互いの納得があって、離婚届を提出すれば、離婚が成立するという点は前
     述の通りです。


     「お互いの納得があって」と簡単に書いてしまいましたが、離婚そのものに納得することだけでな
     く、その他にも様々な条件についてお互いに納得しておかないと、後々の争いの元になってしまい
     ます。


     そのような争いを防止するために、お互いが協議して、納得して取り決めた事柄を文章に残してお
     くことが有効と言えます。
     それが、「離婚協議書」です。


     その前提として、「離婚」時に夫婦でどのような事柄について協議をしておけば良いのでしょうか?


     夫婦の間にお子さんがいらっしゃるかで、協議すべき事柄は異なってきますが、お子さんがいらっ
     しゃらない場合にも、


     
@ 慰謝料

     
A 財産分与


     については話し合う必要があるでしょう。


     そして、お子さんがいらっしゃる場合には、


     
B 親権

     
C 監護権

     
D 養育費

     
E 面接交渉権


     の取り決めも重要になってきます。


     この他にも当事者の状況によって決めておいた方が良い事柄もあると思いますが、以上の6つが基本
     になります。

     それでは、個々に詳しく見ていくことにします。


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4.「慰謝料」の基礎知識


     「慰謝料」という言葉についてはほとんどの方が聞いたことがあると思います。
     「慰謝料」と聞くと「離婚したときに奥さんがもらえるお金」といったイメージ持つ方が意外と多い
     と思います。


      しかし、「慰謝料」は違法行為(不法行為や契約違反など)をした者が精神的損害を受けた者に対し
     て支払う損害賠償の金銭のことです。
     そのため、「慰謝料」は離婚したからといって必ず発生するものではありません。
     「慰謝料」が請求できるほどの精神的損害を受けていなければ、請求はできないことになります。
     

     また、相手に対して精神的損害を与えた者が支払うものですので、男性から女性に対してだけではな
     く、女性から男性に対して支払う場合もあります。
     ですから、奥さんの浮気が原因で離婚という場合には、奥さんが旦那さんに「慰謝料」を支払う例も
     考えられます。


     一般的には、浮気・不倫などの不貞、暴力・虐待などが慰謝料請求の対象とされることが多く、程度
     にもよりますが、性格の不一致では、慰謝料は認められにくいと言えます。

     
     金額については、精神的損害という目に見えない損害に対する賠償であることもあり、はっきりとし
     た基準があるわけではありません。
     双方で合意ができれば良いため、浮気が原因だとしても、ある夫婦は100万円、ある夫婦は1000
     万円と、まさにその夫婦の間の問題になります。


     また、現実的に支払えない慰謝料を取り決めても意味がありませんので、相手の資力も重要な要素で
     す。

     
     婚姻期間についても結婚生活が長ければ長いほど離婚の精神的ダメージは大きいということで、慰謝
     料が高額になる可能性はあります。
     しかし、単純に結婚生活が長ければ、慰謝料が高額になるとは言い切れません。


     さらに、お互いが相手方が悪いと主張して、相互に慰謝料を請求しあう場合もあります。
     この場合、離婚の直接的な原因を作った側が慰謝料を支払うことになりますが、損害を受けた側にも
     原因があるのであれば、その点も考慮して、慰謝料の金額が低めに設定されることもあります。


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5.「財産分与」の基礎知識


     「財産分与」は知名度としては「慰謝料」に比べると低いとは思いますが、どちらかに責任がないと
     発生しない「慰謝料」とは異なり、成田離婚などの極端な例でない限り、どの夫婦であってもほぼ話
     し合わなければならない問題と言えます。


     「財産分与」は、婚姻期間中に夫婦の協力によってえた財産を離婚するに際して分け合うことなので
     す。
     婚姻して生活している以上、財産を得ないで暮らす夫婦はまずいないと思います。


     婚姻期間中に奥さんがずっと専業主婦であったとしても、旦那さんの稼いだ生活費などはすべて夫婦
     が共同で形成した財産と判断されます。
     その財産を二人で分け合うことが「財産分与」なのです。


     「財産分与」は夫婦で築いた財産を離婚に際して清算するという側面だけでなく、離婚によって生活
     が不安定になる側を扶養するという側面も持っています。
     そのような意味からも、専業主婦にもしっかり財産分与が認められることになるのです。

     具体的な金額については、「慰謝料」と同様ではっきりとした基準はありません。


     共同で形成した財産だから単純に2分の1ずつというわけにはいかないのです。
     家などを買っていれば、それを2つに分けるわけにもいきませんし、家をもらう代わりに2分の1の
     金額を払うといっても不動産の額を考えるとかなりまとまったお金が必要になってきてしまいます。
     それが現実的に支払えるお金がどうかもわかりません。
     不動産のローンなどが残っている場合に、それをどちらが負担するかによっても分け方は異なってく
     るでしょう。

     
     また、一般的には、婚姻期間が長いほど財産も多くありますので、「財産分与」の金額は大きくなり
     ます。
     ただし、あくまで一般的なだけであって、必ずしもそうなるとは限りません。


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6.「慰謝料」・「財産分与」の決め方


     このように「慰謝料」と「財産分与」はそれぞれの夫婦によって異なりますし、お互いに合意をすれ
     ば、第三者から見ると考えられない財産の分け方や請求の仕方をしても問題ありません。


     だからこそ、二人の間で念入りに話し合いをする必要があるのです。
     そして、法律的には「慰謝料」と「財産分与」は別のものではありますが、現実的には、両者を合わ
     せていくらと決める例も数多くあります。


     ここで重要なことは、二人で決めたことは必ず書面にしておく、ということです。
     一度決めても後で気が変わったり、お互いの意見にズレが生じれば、また話をし直さなければなりま
     せん。
     それを防ぐためにも書面で残しましょう。

     
     また、こうすることで、万が一、相手が支払ってくれない時にさらなる法的手段をとるための重要な
     証拠とすることができます。


     さらに、ポイントとしては、「慰謝料」・「財産分与」は、なるべく一括で支払ってもらうように決
     めておくのが良いです。


     離婚によって、お互いの住む場所が離れ、再婚など新たな生活が始まると支払いが滞りがちになるこ
     とも珍しくありません。


     長期の分割にして、総額としてなるべく多くの「慰謝料」・「財産分与」を得ることもひとつの方法
     ですが、支払い期間が長くなればなるほど問題が起きやすくなることも覚えておいて下さい。


     多少、金額を下げても一度に支払ってもらったり、分割回数を減らす方が何度もお金を請求をする労
     力と比べると、結果的に有効なこともあります。


     以上のようにして、話し合いの中で「慰謝料」・「財産分与」を決めていくことが、協議離婚をする
     ために必要です。


     なお、「慰謝料」は3年、「財産分与」は2年の間、相手に何も請求しないと時効によって請求がで
     きなくなってしまいますので注意して下さい。


                                          このページのトップへ


7.「親権」の基礎知識


     前述した「慰謝料」と「財産分与」については、離婚に際して決めておくべき事柄ではありますが、
     離婚届に記載するものではありません。
     ですから、「慰謝料」「財産分与」を決める前でも、離婚届の提出自体は可能になります。


     それに対して、「親権」は離婚届に記載しなければならない事柄です。
     この点について話し合いをせずに離婚届を提出することはできません。


     「親権」は、未成年の子供の世話をしたりしつけや教育を行う「身上監護権」と、未成年の子供の財
     産を管理したり、子供の後見人として法的な契約などを行う「財産管理権」とに分けられます。
     未成年のお子さんがいらっしゃる場合には、この親権をどちらが持つか決めなければなりません。


     これは、お子さんの将来にも影響することですし、一度決めて離婚届に記載してしまうと変更が容易
     ではありません。
     離婚届提出後に変更する場合、家庭裁判所の許可が必要になってきてしまいますので、慎重に決める
     必要があります。


     話し合いの結果、父母のどちらが親権を持つと決まれば、問題はありません。
     あとは、離婚届に親権者を記載して提出すれば良いのです。


     しかし、どの親も自分の子供はかわいいですし、自分で育てたいと思うのが人情でしょう。


     父母双方が親権者になりたい、または再婚などの理由で双方が親権者になりたくない、と主張して親
     権者が決められない場合は、家庭裁判所に親権者の調停申立てをして、調停で親権者を決めることに
     なります。
     調停が不成立であれば、さらに審判という手続に進みます。


     審判は、離婚そのものについては同意し、親権についての協議だけができない場合に行われます。
     話し合いをせずに、家庭裁判所に決めてもらいたい場合、調停をせずに、いきなり審判を申立てるこ
     とも可能です。


     そして、自分が親権者になれないのならば、離婚そのものについても同意しない、ということになれ
     ば、裁判をするほかなくなります。


     裁判所が間に入って親権者を決める場合、財産状態なども影響しますが、幼いお子さんの場合には、
     母親が親権者とされる可能性が高くなるようです。
     ただし、あくまで親権者は、子供の利益や子供の福祉を十分に考慮した上で決められます。


     また、お子さんが複数いらっしゃる場合には、それぞれに親権者を決めることができますので、父母
     のどちらか一人が、お子さん全員の親権者にならなければいけないということはありません。


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8.「監護権」の基礎知識


     「親権」は「身上監護権」と「財産管理権」に分けられますが、「監護権」とは、この「身上監護権」
     のことなのです。


     この「監護権」を父母のどちらに持たせるかは、通常、決める必要がありません。
     「親権」を持つ者が「監護権」も持つ者であるのが一般的だからです。


     ですが、子供の財産管理などは行えなくても、子供を引き取って育てたいということであれば、親権
     者と別に監護者を定めるという方法もあるのです。

     例えば、親権者がお父さんで、子供の財産管理などの法的な代理はお父さんが行い、監護者がお母さ
     んで、子供を引き取って実際にいっしょに生活しているのはお母さんということも可能なのです。


     子供の親権者が決まらない場合、調停などを申し立てるということを前述しましたが、親権にこだわ
     らず、子供といっしょにいて育てることさえできれば良いということであれば、監護者を決めて、問
     題を大きくしないこともできます。
     調停などの手続を行えば時間もお金もかかりますので。


     そして、この監護権については、離婚届に記載する必要のない事柄です。
     ですから、監護者を決めなくても、離婚届は提出できますが、監護者を証明するものが何もありませ
     ん。


     そこで、監護者を決める場合には、「離婚協議書」に必ず監護者の記載をしておきましょう。
     こうすることで、後々の問題を防ぐことができます。


     このように、お子さんがいらっしゃる時には、まず「親権」を父母のどちらが持つのかを決めること
     が必要なのです。


     そして、必要に応じて「監護権」を有するものを決め、それを「離婚協議書」として残します。
     この点は、お子さんの将来にとっても重大な影響をもたらしますので、夫婦間でよく話し合う必要が
     あります。


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9.「面接交渉権」の基礎知識


     通常は「親権」を持つ親権者が子供といっしょに生活をし、「監護権」を持つ監護者がいる場合には
     監護者が子供といっしょに生活します。
     それでは、子供といっしょに生活できない父母は、子供に会うことができなくなってしまうのでしょ
     うか?


     いいえ、そんなことはありません。


     子供といっしょに生活できない父母が、離婚後に子供と会っていっしょに時間を過ごす権利という
     「面接交渉権」(「面談交渉権」と言うこともあります)が実務上存在しています。


     離婚して、夫婦の関係は消滅しても、子供との親子関係は消滅しません。
     いっしょに生活していない場合にも、法的な扶養義務は残るのです。
     後述の「養育費」はこの義務の表れです。
     親である以上、子供と会う権利もあるのです。


     そこで、実際にどのように子供に会わせるのかを、話し合っておく必要があります。
     しかし、ただ一月に一度会わせる、と決めるだけでは不明確です。
     後でトラブルになることを防止するためにも、細かく決めておいた方が良いと思います。


     決める内容としては、例えば、
     一月に何度会うのか?
     何時間あるいは何日間会うのか?
     日時を決めるの誰なのか?
     会う場所はどこにするか?
     子供をどのように受け渡すのか?
     日時や場所の変更は可能なのか?
     連絡方法はどうするのか?
     子供の意思はどうするのか?
     などです。


     そして、これらを決めて「離婚協議書」に記載しておけば、後に意見が食い違い、こんなはずでは
     なかった、ということもなくなります。

     
     また、双方の意見が食い違い、「親権」などを有する側が「面接交渉権」を認めず、拒否された側
     が家庭裁判所に申し立てをする場合もあります。


     特に問題がなければ、「面接交渉権」が全く認められない例は少ないはずですが、子供に暴力や虐
     待を加えるなど親権者としてふさわしくないとすでに判断されている場合や養育費の支払を合意し
     たにもかかわらず、養育費の支払を怠っている場合などには、「面接交渉権」に制限が加えられた
     り、認められないとされる可能性もあります。


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10.「養育費」の基礎知識


     次に、「養育費」ですが、これはご存知の方も多いと思います。
     親権者などとなって子供を引き取る側が相手方から子供を扶養していくための費用を受け取ります
     (特に母が子を引き取る場合に多く問題となってきます)。


     ここで、注意していただきたいのは、「養育費」は子供を育てる親に対して支給されるものではな
     く、あくまで扶養を受ける子供の代わりに親が請求をして受け取っているにすぎないのです。
     子供といっしょに住んでいなくても親の扶養義務はなくなりません。
     その扶養義務を果たすために子供に対して「養育費」を渡すのです。
     結果的に、子供を育てている親がそれを受け取っているだけということになります。

     
     この「養育費」も話し合いによって決められます。
     最も影響する要素は支払う側の経済的レベルでしょう。
     しかし、それだけがすべてではなく、養育する側の生活水準なども考慮されて決定されます。

     
     また、金額の変更が絶対に許されないわけではありませんので、子供が重い怪我や病気で長期の入
     院を余儀なくされた場合など特殊な事情が生じた場合に増額をさせるように取り決めておくことも
     できます。


     子供一人について月に5万円前後というのが相場と言われていますが、それぞれの家庭環境によっ
     て異なってきます。
     子供の人数が多ければ、単純に5万円×子供の人数で支払い続けるのが難しい場合もありますし、
     支払う側の収入が多ければ子供一人についての金額を増やすこともあるでしょう。


     いつまで支払いを続けるかについても、夫婦間での話し合いになります。
     一般的には、成人するまで(20歳になるまで)とすることが多いようですが、22歳になるまで
     (大学卒業までという趣旨)という取り決めをする場合もあります。


     そして、この「養育費」の支払いについては、一般に月払いであることが多く、期間が長期にわた
     ることもあります。
     離婚当時はきちんと支払われていた「養育費」が、再婚相手との間に子供ができたりなどの状況の
     変化から支払いが滞るケースもあります。


     このように、「養育費」は、特に不払いなどのトラブルが生じやすいので、離婚の段階から「離婚
     協議書」に記載をして、紛争をできるだけ予防しておくことが望ましいのです。


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11.「離婚協議書」を作る理由


     ここまで離婚に際して、話し合っておくべき事柄を説明してきました。
     そして、協議して決めた事柄に関しては、後になって「そんなことは決めていない!」などと言わ
     れないように、書面に残しておくことが望ましいと言えます。


     そこで、「離婚協議書」を作成することになります。


     これを作成しなくても、離婚届を提出すれば、離婚は成立します。


     ですから、「離婚協議書」は、これを作成すれば離婚できるというものではありませんが、離婚に
     関する後々のトラブルを防ぐためにはぜひとも作成していただきたい書面です。


     書き方としては、特に決まりがあるわけではありませんが、慰謝料、財産分与、親権、監護権、面
     接交渉権、養育費など取り決めた項目ごとに条文を作っていくのが一般的です。

     
     そして、最後の条文として、「本協議書に定める以外には、相手方に対し、何らの請求をしないこ
     とを相互に確認した」旨を書いておくと良いでしょう。


     このように書いておくことによって、「離婚協議書」を作成した後で、やはり慰謝料がちょっと少
     なかったから、名目を変えてお金を支払うように、といった新たな請求を防ぐことができます。


     そして、同じ文面のものを2通作成し、それぞれに署名捺印して保管します。


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12.トラブル防止テクニック


     離婚後のトラブルで多いものは、やはり金銭の支払いの問題です。
     慰謝料などを一括で支払う取り決めになっていれば、大きな問題にはなりませんが、分割にしてい
     たり、養育費などを長期にわたって支払う場合には、支払いが滞る可能性も出てきます。


     「離婚協議書」を作成しておけば、それが証拠になりますので、いざという時には裁判で自分の正
     当性を主張できます。


     裁判所に間に入ってもらって、相手に支払いを促すという方法は有効ですし、どうしても支払って
     もらえない場合には、最終的に裁判をせざるをえない場合もあります。


     しかし、裁判には、時間とお金がかかるという弱点があります。
     そのため、なるべく裁判をしないで済むようにしておき、どうしても無理なときに裁判を行うとい
     う形にした方が効率が良いのです。


     では、そのためには、どうしたら良いのでしょう?



     
(1)公正証書


     まず、裁判をしないで済む一番の方法は「離婚協議書」を「公正証書」にしておくことです。
     「公正証書」とは、公証役場という役所にいる公証人にお願いして作成してもらうもので、通
     常の契約書や協議書の内容を公証人が証明することで、書面の効力を強めてくれます。


     もう少し具体的に言うと、「公正証書」にしておくことによって、あらかじめ裁判所の判決を
     受けているのと同じ状態にしておくことができるのです。


     例えば、養育費の支払いが滞った場合、「離婚協議書」を持っている時には、それを証拠に裁
     判をして、判決を得て、強制執行という流れで養育費を支払ってもらうことになります。


     それに対して、「離婚協議書」を「公正証書」にしておくと、「公正証書」を作成する段階で
     あらかじめ「支払わない場合には強制執行をされることを認めます」、という一文を入れてお
     くことができます。


     これによって、もし相手が支払わない場合には、裁判をしないですぐに強制執行が行えるよう
     になるのです。


     最初に作った「離婚協議書」を後になって「公正証書」にすることもできますが、手間や時間
     を考えると(相手がすぐに応じてくれるとは限りませんので)、「公正証書」にするならば、
     最初から「公正証書」として作ってしまう方が良いと思います。



     
(2)内容証明郵便


     また、個々の事情により「離婚協議書」を「公正証書」にしておかないケースも多くあります。
     そこで、支払ってもらえない場合には、支払いの請求に「内容証明郵便」を使うのも1つの方法
     です。


     「内容証明郵便」は法的に強制させることはできませんが、心理的プレッシャーを与えることで
     支払いを促すことができます。


     また、「内容証明郵便」に対して、相手が何らかの回答をしてくれば、それが裁判の際の証拠に
     なることもあります。


     「公正証書」に比べ、確実性は劣りますが、費用などは安く済みます。



     
(3)究極の対策


     ただし、上記の方法はいずれも相手に支払いを行うことができるだけの財産があることが前提で
     す。


     「内容証明郵便」を送って支払いの請求をしても、「離婚協議書」を「公正証書」にしておいて
     も、「裁判」で判決を得て強制執行が行えるようになったとしても、相手に財産がなければどう
     しようもないのです。
     財産のないところから取ることはできないのです。


     そこで、究極的な対策は、最初からそもそも支払ってもらえないという状況を作り出さないよう
     にすることです。
     つまり、なるべく分割払いは避け、一括で支払ってもらうようにするのです。

     
     「養育費」は性質上なかなか一括というわけにはいきませんが、「慰謝料」などはできるだけ一
     括で支払ってもらうようにするべきです。
     分割払いにすればするほど、支払いが滞る危険性も増してしまいます。
     最初はきちんと支払うつもりであったとしても、将来的にどのようになっていくかは誰にもわか
     らないのです。


     例えば、離婚時に一括で200万円を支払ってもらうのと、50万円の5回の分割払いで総額2
     50万円を支払ってもらうのでは、前者の方が結果的に得な場合もありえます。
     50万円が2回支払われた時点で支払いがストップしてしまった場合、法的に請求して残額を支
     払わせるには、時間も費用もかかります。


     また、「慰謝料」の請求などで労力を使うことは、精神的にも良いとは言えないでしょう。
     結果的に、全額支払ってもらえれば、まだ良いでしょうが、相手の財産状態によっては、残金を
     全くもらえなくなってしまうかもしれません。


     そのような点を考慮すると、金額を多少下げてでも、一括で支払ってもらうことはトラブルを避
     ける手段として有効なのです。


     以上のような方法を利用して、事前にトラブルの生じる可能性を少なくしていくことは、離婚後
     の生活を考える上でも、非常に重要なことです。


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13.「離婚」手続を行うにあたって


     「離婚」に関する問題は、なかなか人に相談しにくい部分もあり、一人で抱え込んでしまいがち
     です。


     また、離婚時に様々な話し合いは行ったものの、それを「離婚協議書」に残しておかなかったた
     めに、後にトラブルを引き起こしてしまうようなケースも見られます。


     今後新たな人生を踏み出すためにも、離婚に関する手続は慎重に行っていくべきです。
     最低限、「離婚協議書」は作ることをお勧めします。


     「離婚協議書」の書き方がわからない、そもそも離婚時にどのようなことを話し合っておくべき
     なのかわからないなど、どのようなことでも一人で悩まずに、お気軽にこちらにご相談ください。


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