会社の契約書,個人の契約書
あらゆる契約書の作成はすべて
神奈川県 藤沢市 の『湘南総合法務オフィス』にお任せください!!
湘南総合法務オフィス 藤沢駅 北口 徒歩6分 (神奈川県 藤沢市)

〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢1099−6
TEL : 0466−27−8158
FAX : 0466−27−8509
営業時間・事務所マップ
 平山・神野 行政書士事務所 
行政書士 平山 清嗣 ・ 神野 友宏
TOPページ      サイトマップ      ご相談・お問い合わせ      リンク
知りたいことがすぐわかる!!
契約書 虎の巻

  【 INDEX 】
              1.「契約書」の基礎知識

              2.「贈与契約」の基礎知識

              3.「特定物・不特定物」の基礎知識

              4.「不動産・動産売買」の基礎知識

              5.「建物賃貸借契約」の基礎知識

              6.「契約書」作成において


              ※ 『契約書トータルサポート』に戻る


1.「契約書」の基礎知識



     契約書を取り交わしたことがある方は結構いらっしゃると思います。
     例えば、賃貸借契約書や売買契約書など。



     1)それでは、契約書を取り交わした場合に契約が成立するのは、いつだと思われますか?


     「契約書に署名したとき」と思われている方が結構多いようですが、原則として、「申込の
     意思表示と承諾の意思表示が合致したとき」です。


      例えば、「この自動車を買いたい」と申し込んで、相手が「わかりました」と承諾すれば、
     その時点で原則として契約が成立します。


      従って、その後に売買契約書を作った場合でも、契約書作成前にすでに契約が成立している
     ことになりますので、申込や承諾をする際には慎重にする必要があります。
     

     この契約の成立時期は、その後のいろいろな場面で問題となる可能性がありますから、十分
     に注意してください。


     なお、「原則として」と書いたのは、例外もあるからです。


     例えば、消費貸借契約などは「要物契約」と言って、申込と承諾の意思表示に加えて、物の
     引渡がなされて初めて契約が成立します。


     つまり、「10万円を貸してください」と申し込んで、相手が「わかりました」と言っただけ
     では契約は成立せず、貸主から借主に10万円が引き渡された時に契約が成立します。



     2)ところで、民法は第2章『契約』の中で、「贈与」、「売買」、「交換」、「消費貸借」、
      「使用貸借」、「賃貸借」、「雇傭」、「請負」、「委任」、「寄託」、「組合」、「終身
      定期金」、「和解」という13種類の契約を定めています。


     これらの契約以外はできないかというと、そういうことはありません。


     民法は第2章『契約』の中で、債権契約の典型的なものについて規定しているだけで、この他の
     債権契約も「適法であること」、「可能であること」、「確定し得べきこと」という要件をみたす
     限り、当事者で自由に締結することができます。


     例えば、労働者派遣契約や営業秘密に関する契約など、企業社会では様々な契約がなされています。
     もっとも、普段の生活の中では、民法第2章で規定されている典型契約が身近で一般的だと思われ
     ますので、これらを前提に書きたいと思います。



     3)さらに、当事者は契約の内容を、強行法規や公序良俗に違反しない限り、自由に定めること
       ができます。


     例えば、民法404条では法定利率を年5分(5%)としていますが、404条で「別段の意思
     表示なきときは」と限定しているように、利息制限法などに抵触しない限り、当事者の合意で利息
     をより高く設定することができます。


     従って、契約をする際には、契約内容をよく確かめて十分に納得してから、契約をする必要があり
     ます。


     また、契約書を渡された場合には契約書の内容を十分に把握してから、承諾の意思表示をする必要
     があります。


     契約の内容をよく理解していなかったために、後でトラブルに巻き込まれる可能性もありますので、
     十分にご注意ください。


     ただ、業者から渡される契約書は細かい字で、難しい用語がたくさん書いてあるので、なかなか理解
     するだけでも大変です。


     もし、金額の高い契約(マンションや自動車の売買契約など)をする際には、将来のトラブルを防止
     するために、渡された契約書のひな型を事前に行政書士などに見せ、その内容を十分に納得してから
     承諾されることをお勧めします。


    【ポイント】


     (1)契約の成立は、原則、申込の意思表示と承諾の意思表示が合致したとき。

     (2)契約をする際には、契約内容をよく確かめて十分に納得してから承諾を!

     (3)契約書を渡された場合には、契約書の内容を十分に把握してから承諾を!


                                     このページのトップへ


2.「贈与契約」の基礎知識


     ここからは、「贈与契約」について、具体例を挙げて説明します。


     【事例1】


     30代の木前良子(きまえ よいこ)さんは、隣人の徳下和代(とくした わよ)さんへ、日頃
     親切にしてくれているお礼に、1ヶ月先に発売のブランド品のバッグをあげることにしました。


     そのことを徳下和代さんに伝えると、彼女は大喜びで「どうもありがとう。貰えるのは1ヶ月先
     なのねえ。それなら、『私にくれる』というメモを書いてもらっていい?」と言いました。


     それを聞いた木前良子さんは、気軽な気持ちで「いいわよ。」と言って、『○年○月発売の○○社
     製バッグの○○を徳下和代さんにあげます。』というメモを書き、自分の名前も書いて徳下和代
     さんに渡しました。


     ところが、数日して近所の主婦から、徳下和代さんは木前良子さんのいないところで、根も葉も
     ない悪い噂を言いふらしていることを聞きました。


     そこで、木前良子さんは徳下和代さんに、「やっぱりバッグをあげるのはやめることにしたわ。」
     と言いました。


     すると、徳下和代さんは、「やめることはできないわよ。だって、貴女は私にくれるというメモを
     書いたじゃない。」と言いました。


     はてさて、この場合にはどういうことになると思いますか?



     民法第550条本文には、「書面に依らざる贈与は各当事者之を取消すことを得。」とあります。
     この反対解釈として、書面による贈与は取り消すことができないことになります。


     では、木前良子さんの書いたメモは、この「書面」にあたるのでしょうか?
     『○年○月発売の○○社製バッグの○○を徳下和代さんにあげます。』とだけ書いてあって、どこ
     にも「贈与契約書」とは書いてありませんが・・・。


     残念ながら、「贈与契約書」という文言が入っていなくても、贈与の意思が明確になっていれば、
     書面による贈与の「書面」にあたります。


     木前良子さんのメモの『○○を徳下和代さんにあげます。』という文言は贈与の意思が明確です。
     従って、この場合は、木前良子さんは約束通りに、徳下和代さんにバッグをあげなければならない
     ということになります。


     では、贈与の場合、いったいどういう点に気をつけたら良いのでしょうか?


     勿論、貰う側としては、徳下和代さんのように「書面」をもらっておくのが良いということになり
     ます。


     そして、すぐに貰えるときは、相手の気持ちが変わらないうちに貰うのが良いでしょう。
     民法550条には、「書面に依らざる贈与は各当事者之を取消すことを得。但履行の終はりたる
     部分に付ては此限に在らず。」とあり、「書面」がない場合でも履行した以上は取り消せなくなり
     ますから。


     他方、あげる側としては、贈与の意思を「書面」にしないことが大切です。
     そうすれば、いつでも贈与契約を取り消すことができますから。


     この取消には期間制限がありません。
     従って、いつでも気持ちが変わったら取り消せます。


     もっとも、一度あげると言って相手に期待を抱かせながら、やっぱりやめると言えば、人間関係
     が気まずくなります。


     せっかくの好意で贈与をしようとしてトラブルになったらつまりませんから贈与をするときには
     慎重にするというのがポイントとなります。


     【ポイント】   


     (1)贈与契約は書面にしなければ、両当事者がいつでも取り消せます。

     (2)他方、贈与契約を書面にした場合には、契約を取り消せません。

     (3)従って、贈与を書面でする場合には、慎重に行う必要があります。


                                     このページのトップへ


3.「特定物・不特定物」の基礎知識


     【事例2】


     主婦のAさんは、お酒屋さんに電話をして、「いつもの○○ビールを10本届けて。」と注文しま
     した。


     ところが、お酒屋の店主がAさん宅に自転車で配達の途中に、居眠り運転の車にぶつけられて転び、
     10本のうちの2本を割ってしまいました。
     店主には全く過失がありませんでした。


     この場合にAさんは、10本分の代金を払わなければならないでしょうか?


     この場合に、Aさんは10本分の代金を払う必要がありません。
     8本分の代金のみを支払って、割れた2本分については割れていないビールに取り替えるように
     請求できます。


     法律上は、この権利のことを「完全履行請求権」と言います。
     Aさん宅に配達されるまでは、売買の目的物が「特定」されていないため、「不特定物売買」に
     おける完全履行請求権が認められるのです。



     【事例3】


     では、同じく主婦のAさんがお酒屋さんに行って、「その冷蔵庫の中にある○○ビール全部10本
     を届けて。お金は後で払うから。」と注文しました。


     ところが、事例1と同様にAさん宅に自転車で配達の途中に居眠り運転の車にぶつけられて転び、
     10本のうちの2本を割ってしまいました。
     店主に全く過失がありませんでした。


     この場合にAさんは、10本分の代金を払わなければならないでしょうか?


     この場合、「法律上」は、10本分の代金を払わなければなりません。
     事例2では、売買の目的物が「特定」していませんでした。


     ところが、事例3ではAさんが、「その冷蔵庫の中にある○○ビール全部10本を届けて。」と
     言っていて、目的物が「特定」されています。


     もし、○○ビールが冷蔵庫に11本以上あって、そのうちの10本を買うというならば、どれが
     目的物になるか分からないので「特定」しません。
     しかし、Aさんは、「冷蔵庫の中にある○○ビール『全部』10本」と言ったので、売買の目的物
     が「特定」したことになります。


     そして、このように目的物が「特定」した場合、目的物が滅失・毀損した責任が売主にあるか否か
     で結論が異なってきます。


     事例3では、店主に過失がないので、ビール2本が毀損した責任は売主にありません。
     この場合には、民法第534条により、買主が毀損した金額、即ち、毀損したビール2本の金額を
     負担することに「法律上」はなります。


     これを「危険負担」における「債権者主義」と言います。


     この場合の債権者とは、目的物の引渡請求権を有する者、すなわち「買主」を指します。


     そして、最初から目的物が「特定」している場合(例:1戸建ての建物)や事例3のように途中で
     「特定」した場合で、目的物が滅失・毀損した責任が売主にない場合は、買主がその危険を「法律
     上」は負担することになります。


     ところで、先程から「法律上」と言っていますのは、実際の日常の売買では、そのようにならない
     ケースが多いからです。


     事例3では、ビール10本の売買契約でした。
     Aさんがそのお酒屋さんに、「割れていないビールに取り替えて。」と言えば、普通の場合なら
     「はい、いいですよ。」と言って取り替えてくれることでしょう。


     ただ、これが「高額な売買契約」となると、「はい、いいですよ。」という訳にはいきません。
     そして、このような「高額な売買契約」でこそ、この「危険負担」が問題になることが多いのです。


     もっとも、売買契約書に、「登記・引渡・代金支払のいずれかがなされたときに、買主に危険が
     移転する。」という条項が入っていれば、売買契約の時点で危険が買主に移転するという事態を
     避けることができます。


     従って、「高額な売買契約」を締結する際は、この「危険負担」に関する条項がどのようになって
     いるかを十分にチェックしておく必要があります。
     もし、上記のような「特約条項」が入っていなければ、「法律上」通りの結果になりますので。



     【事例4】

     
     事例3と全く同じ事案で、「配達した店主の過失」でビール10本全部を滅失させた場合はどう
     でしょうか?
     

     この場合は「売主に過失があります」ので、「危険負担」は問題とならず、売主が「債務不履行」
     の責任を負うことになります。
     即ち、買主は「履行不能による契約解除」(民法第543条)や債務不履行に基づく損害賠償請求
     (民法第415条)が「法律上」できます。


     また、債務不履行責任の追及の他に、不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条)も「法律
     上」できます。


     勿論、この場合も普通なら、売主が債務不履行責任を追及するまでもなく、お酒屋さんが割れて
     いないビール10本を改めて届けて解決するでしょう。


     ただ、ビールなどとは異なり、売買の目的物が代替できないもの(例:1戸建ての建物)などの
     場合には、上記の「法律上」の手段により解決することになります。


     【ポイント】


     (1)「不特定物売買」では、買主に「完全履行請求権」があります。

     (2)「特定物売買」、あるいは「不特定物売買」で「特定」した場合に、目的物が滅失・毀損
        した責任が「売主にない」ときは、買主がその危険を「法律上」は負担することになります。

     (3)「特定物売買」、あるいは「不特定物売買」で「特定」した場合に、目的物が滅失・毀損
        した責任が「売主にある」ときは、売主が債務不履行の責任を負います。


     (注)「不特定物売買」で「特定」が生ずる時期は、「法律上」では、売主が給付を為すに必要な
        行為を完了したとき(売主が目的物を他の物から分離して買主に通知したとき)、または、
        買主の同意を得て給付すべき物を指定したときです(民法第401条第2項)。
        この「特定」の時期は、前述した通り、契約で変更できます。


                                     このページのトップへ


4.「不動産・動産売買」の基礎知識


     【事例5】


     主婦のAさんは、念願のマイホームを建てようと思い、知り合いのWさんから土地を購入すること
     にしました。
     そして、不動産業者の仲介料を払うのが惜しかったので、所有者Wさんと直接に売買契約を締結
     しました。
     ところが、同じ土地について、WさんはBさんとも売買契約を締結していることが分かりました。


     この場合に、Aさんはどうしなければならないのでしょうか?


     このような不動産の「二重譲渡」の場合には、先に移転登記を受けた人が相手方に対して所有権
     を「対抗」できます(民法第177条)。


     従って、Aさんとしては、Bさんよりも先に、Wさんから移転登記を受けなければならないという
     ことになります。


     では、BさんがAさんより先に、Wさんから移転登記を受けてしまった場合、Aさんはどうなるの
     でしょうか?


     残念ながらこの場合には、AさんはBさんに所有権を「対抗」できません。
     そして、逆に、BさんがAさんに所有権を「対抗」できる結果、Aさんはその土地の所有権を取得
     できなくなります。
     即ち、土地の所有権をめぐる「物権関係」では、AさんはBさんに負けることになります。


     Aさんとしては、Wさんとの間で「債権関係」で解決する以外にありません。
     即ち、Aさんは、Wさんに「履行不能による契約解除」(民法第543条)、「債務不履行に基づく
     損害賠償請求」(民法第415条)、「不法行為に基づく損害賠償請求」(民法第709条)をする
     ことになります。


     そして、もし売買代金を支払っていた場合は、「契約解除による原状回復」(民法第545条第1項)
     として売買代金を返してもらうことになります。


     ただ、このような「二重譲渡」を行う人は、逃亡したり、受け取った代金を費消してしまったりして、
     代金を取り戻すことは容易ではありません。


     一般に、不動産業者が仲介する売買契約では、移転登記手続を済ませた後、いわゆる「権利証」(登記
     済証)と引き換えに「売買代金」を支払います。


     この事例のように、知人と直接取引をする際にも、売買契約の締結後直ぐに一緒に登記所(法務局)
     に行き、「権利証」(登記済証)と引き換えにして「売買代金」を支払うことをお勧めします。


     そうすれば、仮に「二重譲渡」がなされていたとしても、登記をしたことによってその所有権を
     第三者に「対抗」でき、そして、代金を持ち逃げされるというトラブルを防止できますので。



     【事例6】


     会社員のAさんは、古本屋で長年探していた歴史百科事典を見つけました。


     しかし、歴史百科事典は合計20冊もあり重いことから、「後で車で取りに来るので、そのまま
     預かっていて欲しい」と言ったところ、店主が「分かりました。お預かりしておきます。」と
     言ったので、代金を支払いました。


     ところが、Aさんが取りに来る前に、古本屋の店主は馴染み客のBさんにもその歴史百科事典を
     売り、Bさんはその本を全部持ち帰ってしまいました。
     このとき、Bさんは、この本をAさんがすでに買っていたことを全く知りませんでした。


     この場合に、Aさんはどうなるのでしょうか?


     動産の「二重譲渡」の場合には、先に「引渡」を受けた人が相手方に対して所有権を「対抗」
     できます(民法第178条)。


     そして、この「引渡」には、現実の引渡(民法第182条第1項)の他に、この事例のように
     店主がAさんのために預かるという意思を表示する方法で引渡をする、いわゆる「占有改定」
     (民法第183条)の方法も含まれます。


     とすると、Aさんは「占有改定」の方法で「引渡」を受けていることから、Bさんに対してこの
     本の所有権を「対抗」できるようにも思えます。


     しかし、動産の場合には「即時取得」(善意取得とも言います)という制度があります(民法
     第192条)。
     民法第192条には、「平穏且公然に動産の占有を始めたる者が善意にして且過失なきときは
     即時に其動産の上に行使する権利を取得す」と定められています。


     この事例でも、Bさんは、この本をAさんがすでに買っていたことを全く知らずに(法律上は
     「善意」と言います)持ち帰って、占有を始めています。

     
     従って、Bさんに「過失」がなければ、Bさんがこの本の所有権を即時取得することになり、
     Aさんは所有権を取得できなくなります。
     即ち、事例5の場合と同様に、所有権をめぐる「物権関係」では、AさんはBさんに負けること
     になります。


     Aさんとしては、店主との間で「債権関係」で解決する以外にありません。
     即ち、Aさんは、店主に「履行不能による契約解除」(民法第543条)、「債務不履行に
     基づく損害賠償請求」(民法第415条)、「不法行為に基づく損害賠償請求」(民法第709
     条)をすることになります。


     そして、売買代金を支払っていることから、「契約解除による原状回復」(民法第545条第1項)
     として売買代金を返してもらうことになります。


     このようなトラブルを未然に防止するためには、売買契約後すぐに持ち帰り、現実の引渡を受ける
     ことが第一です。


     もし、買った物が重いなどの理由でをお店に預けなければならないときは、「売約済み」などの札
     を取り付けてもらうと同時に、後で現実の引渡を受けるときに代金を支払うようにすることをお勧
     めします。


     「売約済み」などの札を取り付けてもらえば、第三者は売約済みであることを知ることになり
     (法律上は「悪意」と言います)、第三者に「即時取得」されることを防止できますので。
     

     そして、現実の引渡を受けるときに代金を支払うようにすれば、代金返還などの煩わしい事態を
     避けられます。


     【ポイント】


     (1)「不動産売買」で取得した所有権を第三者に「対抗」するためには、第三者より先に「登記」
        を受ける必要があります。

     (2)「動産の売買」で取得した所有権を第三者に「対抗」するためには、第三者より先に「引渡」
        を受ける必要があります。

     (3)「動産の売買」では、善意・無過失の第三者が優先する「即時取得」の制度がありますので、
        注意が必要です。


                                     このページのトップへ


5.「建物賃貸借契約」の基礎知識


     【事例7】


     Xさんは賃貸マンションを出ることになり、最初に支払った敷金51万円(賃料の3か月分)を
     返してくれるようにと、Y不動産屋に言いました。


     ところが、Y不動産屋から連絡が来て驚愕!
     「壁のクロスとカーペットの全面張替え、畳の全部交換、フローリング修理代などの費用として
     合計で43万円がかかるので、返還できる敷金は8万円だけです」と言うのです。


     Aさんは「43万円とはあまりにも高すぎるのでは!」と抗議しましたが、Y不動産屋は「賃貸借
     契約書に、『貸主は、本件建物の明渡に際し、借主に対して原状回復費用請求権を有している場合
     は、敷金を債務の弁済に充当することができ、その残額を貸主に返還すれば足りる。』と書いて
     あります。


     それに原状回復費用の43万円も業者にきちんと見積りを取りました。」と言うばかりです。
     Aさんは、困り果てて、近くの行政書士事務所を訪ねました。


     まず、行政書士はAさんに使っていたときの状況を詳しく説明してもらいました。


     すると、「フローリング」については、自分の小学生の子供がいたずらをして、キズをつけたり、
     へこませたりしていたことが分かりました。


     また、「子供部屋の壁のクロス一部」にいたずら書きをしていたことも分かりました。


     この場合に、「フローリング」のキズやへこみと「子供部屋の壁のクロス」のいたずら書きは、
     賃借人Aさん側に善管注意義務(善良な管理者としての注意義務)の違反が認められるので、A
     さんが修理代を負担しなければなりません。


     しかし、賃貸借期間は2年間と短く、「子供部屋以外の部屋の壁クロス」には数箇所に画鋲で穴
     を開けた程度であり、「壁のクロス」と「カーペット」と「畳」は、少し日焼けして変色した程度
     であることがわかりました。


     「子供部屋以外の壁クロス」に画鋲の穴があいた程度では、クロスの張替えまでも必要とは言え
     ません。


     また、「壁のクロス」と「カーペット」と「畳」の変色は日照が原因で、賃借人が通常の住まい方、
     使い方をしていても発生するものであることから、張替えするとしても、それは賃貸人が負担すべき
     ものです。


     そして、知人の業者に見積もりを取ったところ、「フローリング」の修理代と「子供部屋の壁の
     クロス」の一部の張替え費用は合計で約10万円とのことでした。


     そこで、上記事情を踏まえて、行政書士は文書をY不動産屋に内容証明で送りました。
     すると1週間ほどしてY不動産屋からAさんに連絡が入り、敷金の返還額を40万円にするとの
     ことでした。


     最初は8万円しか戻ってこないと思っていたAさんも、40万円が戻って来ることになって、
     「あのまま言われた通りに支払わなくて良かった。」と非常に喜びました。


     このように、賃借人が通常の住まい方、使い方をしても発生する損耗や毀損については、一般的
     には賃貸人が負担すべきものです。


     他方、賃借人に善管注意義務違反や過失がある場合には賃借人が負担すべきものと言えます。


     ただ、個々の契約での特約の定め方如何では、若干の相違が生じます。



     【事例8】


     Aさんは、平成6年4月に土地所有者Bさんから、建物の所有を目的として毎月54万5790円
     の賃料で土地を借りました。


     この賃貸借契約には、「3年ごとに賃料を消費者物価指数の変動等に従って改定するが、消費者
     物価指数が下降したとしても賃料を減額しない。」旨の特約が存在しました。


     ところが、平成6年4月時点の本件土地の価格は5億9670万円でしたが、その後、急落して
     平成13年2月時点の価格は1億5100万円になりました。


     Aさんは、平成13年4月に賃料を44万2000円に減額するように請求しましたが、Bさん
     は前記の特約があることを理由に減額を拒みました。


     そこで、Aさんは賃料減額請求の訴えを提起しました。


     Aさんの訴えに対して、裁判所はどのような判決を出したと思われますか?


     この事例は実際に裁判となった事案で、最高裁判所は、平成16年6月29日に、第3小法廷で
     次のような判決を出しました。

     
     「借地借家法11条1項の規定は,強行法規であって,本件特約によってその適用を排除すること
     ができないものである。したがって,本件各賃貸借契約の当事者は,本件特約が存することにより
     上記規定に基づく賃料増減額請求権の行使を妨げられるものではないと解すべきである。」として、
     Aさんは、借地借家法11条1項の規定により賃料の減額を求めることができるという判決を出し
     ました。


     上述の1.「契約書」の基礎知識でも説明しましたが、当事者は契約の内容を、『強行法規』や
     『公序良俗』に違反しない限りで自由に定めることができます。


     そして、この判決では、借地借家法11条1項が『強行法規』であることから、特約によってその
     適用を排除できないとしています。


     そこで、今後のご参考として、「賃貸借契約書に本件事案のような特約が仮に入っていたとしても、
     賃料の減額請求ができる場合がありうること」を、頭の片隅に置いておいて頂ければ、何かのときに
     お役に立つかもしれません。


     【ポイント】


     (1)賃借人が通常の住まい方、使い方をしても発生する損耗や毀損については、一般的には賃貸人
        が負担すべきものです。

     (2)賃借人に善管注意義務違反や過失がある場合には、賃借人が負担すべきものです。

     (3)借地借家法11条1項の規定は,強行法規であって、特約によってその適用を排除することは
        できません。


     (注)借地借家法は、「建物所有を目的とする地上権及び土地の賃貸借」と「一時使用ではない建物
        の賃貸借」に適用されます(1条、40条)。


                                     このページのトップへ


6.「契約書」作成において


     以上、典型的な契約の基礎知識について説明してきました。


     「契約」は日々の生活と切り離せないものであり、その「契約」を書面にした「契約書」も非常に
     重要なものです。


     「契約書」は細かく書かれている場合が多いため、よく読まずに契約をされる方も多いと思います
     が、それは非常に危険であるということを知って下さい。


     一般的に「契約書」はトラブルを予防するために作成するものですが、「契約書」がトラブルの
     元になることもありえます。


     何かがあった時の責任がすべてあなたに降りかかってくることもないとは言えないのです。


     逆に、しっかりとした契約を結んでおけば、「契約書」はあなたを守ってくれます。


     ですから、「契約書」作成においては、内容を熟考することが不可欠になってきます。
     一見、ささいな一言であっても契約内容を左右する場合は多々あるのです。


     これは、個人であろうと法人であろうと同じことです。


     しかし、どうしても自分で考えただけではわからない、または不安であるという場合もあると思い
     ます。


     そのような時に、具体的なアドバイスを行ったり、契約書を代わりに作成するために私たち行政書士
     がいます。


     ささいなことでもどうぞお気軽にこちらにご相談下さい。

                                     このページのトップへ


当事務所の全てのサイトにつき、無断の転用・転載を厳にお断り致します
Copyright (C) 2007 , 湘南総合法務オフィス , All rights reserved